正真正銘のキリマンジャロとは?
2021年 11月 10日
アフリカ最高峰キリマンジャロ、その名を冠したコーヒーは
日本でも人気が高く爽やかな清涼感ある酸味と苦みが特徴とされる
日本で人気に火がついたのは1953年公開の映画「キリマンジャロの雪」
20世紀を代表する小説家”アーネスト・ヘミングウェイ”の短編小説を
映画化したものでこれが日本で大ヒット

映画公開とともにキリマンジャロコーヒーのプロモーション活動が行われ
映画のヒットとともに知名度も急上昇し現在の人気銘柄へと成長した
当時はキリマンジャロ山麓の北部地区で栽培された高品質コーヒーだったが
今の主力産地は南部の方生産量45%に対し北部は15%しかない
残りは西部のカネフォラ種(ロブスタ)35%と低品質の極小産地5%
つまりタンザニア産のアラビカ種の70%もが南部地区で栽培されている

日本はタンザニア産コーヒー全体の生産量の20%も仕入れているが
その全てがキリマンジャロと言う名称でブランド化されている
ちなみに北部キリマンジャロ山麓と南部の振興大産地の距離は約1,400㎞
日本の本州の長さが最北端の青森県尻屋崎から最南端の山口県彦島まで
直線で約1,250kmだから玄界灘を超え五島列島付近まで…

つまり九州の五島列島や東シナ海で捕れた本マグロを
津軽海峡の大間のマグロとして売っているようなものである
このことは世界のコーヒーマン達の間では有名な話で何でもかんでも
キリマンジャロにして高く売れるから多少の品質差は関係なしに
何でも買いまくると嘲笑されて来た現実がある
世界水準の正しいトレーサビリティー表記とすれば南部のコーヒーについては
タンザニア・ムベヤ地区やムベンガ地区産として記載すべきなのだが
キリマンジャロと言う呼称は、もはやタンザニアをはるかに超えたブランドとなり
今さら敢えて得た名声を下げるような事には目をつぶっているのが現状だ
それでも本当の正真正銘キリマンジャロ山麓で栽培されたコーヒーや
すぐ近隣の同じ北部にあるンゴロンゴロクレーター産のコーヒーについては
カップのクリーンさや甘み、そして透明感のある綺麗な酸味が高く評価され
スペシャルティーコーヒーの主要産地として確実な地位を築いている
ゼファー橋本氏は、この北部産地の中でも本物のキリマンジャロ山麓で栽培された
マムセラやウルノースに住むチャガ族が樹齢50年以上の古木から種をつなぎ
希少なコーヒーを丁寧に作り続ける地域だけを限定して“Genuine” Kilimanjaro
ジェヌイン・キリマンジャロとしてブランド化を進めている

元々タンザニアでは、ビクトリア湖西側(ブコバ地方)に暮らすハヤ族が
富の象徴として、自生していたロブスタを噛みコーヒーとして栽培していた
その後1893年にドイツ人によって植民地政策として着手したものの
当初の東ウサンバラでは降雨が多く失敗に終わり
その後ブコバ地区にてアラビカ種の栽培に着手するもハヤ族の伝統に合わず断念
そしてキリマンジャロ山麓のモシ地区付近のチャガ族により
アラビカ・コーヒーの本格的な生産が始まりタンザニアでのアラビカ種として
ブルボン種(N39) とケント種(KP423)を中心に本格的な栽培が進んだ

チャガ族は我々日本人と似た非常に綺麗好きな民族とのこと
村に入ると他の地域とは全く違い道路も、公園も、農地も、家の周りも
ゴミひとつなく整然と管理された綺麗な風景が目を引く

アラビカ種のコーヒー栽培は農地の管理や環境を整える細かな手がかかる
彼らこそタンザニア産のアラビカ種を生み育てた立役者と言っても過言ではない

カップの印象は何といっても円やかな甘みと透明感のある酸味が印象的
南部コーヒーのしっかりとした苦みと強い酸味に対して柔かでふくよかな感じだ
現在は標高1,400m~2,000mの地域で収穫されたチェリーを水洗処理した
マムセラ組合、ウルノース組合のコーヒーまでしか絞り込みは出来ていないが
11月下旬から橋本氏が現地入りし更なる品質向上のための取り組みを進めるため
現地調査と視察に入り最新の情報や画像を送って下さるとのこと
今シーズンの生豆はトライアルロットとして30㎏×15袋だけ仕入れて
現時点での余剰在庫は5袋ほどしかないが、来シーズンのオファーを検討される
ロースター様には数キロ単位の有償サンプルとして小分け販売で
草の根的な販路拡大を目指しています
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